古傷(傷あと)治療にも役立つ美容鍼とは

体に残る傷跡を消したいと思っている方が一定数います。

別に痛みがあるとか寒くなると疼くこともないけど、傷そのものを消したい(あるいは小さくしたい)と
治療院にお越しになります。
例えば帝王切開の傷あとやバイク事故で下肢に残った手術痕、自転車で転んだ時にできた肘から前腕にかけてのギザギザに残る傷など。
形状も傷に沿って隆起している傷(肥厚性瘢痕)や逆に凹んでしまっている傷(陥凹瘢痕)などさまざま。

形成外科の手術やレーザー治療を受けることが、最も早く確実に傷あとを消せるかもしれない。
しかし、レーザー治療より時間はかかるけれども鍼灸でどうにかしたいと思ってくださる方もいます。

美容鍼で傷あとを消す

顔の傷あとでお悩みの方が、10年くらい前にお越しになられました。
その方は、頬に5歳の時に負った傷が、深くえぐれたような傷跡を形成し30年経っても傷あとが消えないとお悩みでした。
過去にレーザーで治療したが満足する効果が得られずに、当時は金額も高額のため治療を断念した経緯があります。

当院では美容鍼のシミ・肌質改善コースを受けていただき、体調を整えながら傷あと改善を目指しました。

結果、2年7か月かかりましたが、陥凹していた傷が徐々に戻ってきて、顔を30cmの距離まで近づけなくては分からないほど傷が目立たなく成りました。

傷あとの定義

1,皮膚の“きめ”がなくなっている、もしくは乱れている。
2,毛包や汗腺など皮膚付属器がなくなっている。
3,色素沈着または色素脱失を起こしている。
4,毛細血管が増えている。
5,隆起または陥凹している。
(参照:慶應義塾大学 形成外科学教室WEBサイト)

傷の治る機序

浅いすり傷はほとんどの場合、約2週間以内に治り、傷跡が残りませんが、深い傷では跡が残ります。

皮膚は大きく分けると浅い部分の表皮と深い部分の真皮でできています。
表皮の深い部分に基底細胞というものがあり、これが細胞分裂して細胞を積み上げて表皮層を作っています。最後は角質となって自然にはがれ、だいたいこのサイクル(ターンオーバー)が約4週間であると言われています(体調や年齢で増減します)。この表皮層がうまく再生できれば、傷あとは残らないことになります。

真皮の層の中には、毛や汗腺など皮膚の付属器と呼ばれる組織があり、その部分には表皮基底細胞があります。そのため真皮の浅いところでの損傷であれば、真皮にある毛や汗腺から表皮基底細胞が伸びてきて表皮層を再生することができます。
しかし、真皮の深い部分まで損傷が及ぶと、真皮の中の付属器の密度が減って表皮の再生が遅くなります。

さらに皮膚がすべて損傷されると、表皮成分が全くなくなるので表皮再生は行われません。
この場合、真皮や皮下脂肪および筋肉などから線維芽細胞というものが増殖し、肉芽(にくげ)を形成してキズを治そうとします。肉芽がある程度皮膚表面の高さまで盛り上がると、その周囲の皮膚から表皮が伸びてきてキズを覆ってくれます。この肉芽によってキズが治るとキズあとが残ることになります。つまり傷あとがつくのは、ケガの深さが深い場合です。
(日本創傷外科学会HPより一部抜粋)

美容鍼で皮膚の表皮と線維芽細胞を刺激する

当院の美容鍼のシミ・肌質改善コースは、主に鍼と熱の刺激で皮膚表面と真皮層や皮下脂肪および筋肉に刺激を送り、お肌のターンオーバーの正常化と線維芽細胞の活性化を狙った施術を行います。
美容鍼によって傷あとに起こることは、時間経過よって線維化した組織を壊し、コラーゲンやエラスチンなどを増やすことで、瘢痕組織は柔らかく平坦になり、陥凹は肉芽形成によって皮膚表面の高さまで盛り上がるイメージです。加えて、全身治療も行うのでお肌再生に必要な栄養素を吸収しやすくなるような体調のケアもすることができます。

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