体を動かすのが好きだったが、コロナウイルスの蔓延で外に出られず運動の機会が少なくなった影響で筋肉が痩せて、今年に入って運動を再開したが、思うように動けないばかりかお尻から足にかけて痛みやしびれが出るようになった。
なんとかコロナ前のように痛みなく動けるようになりたい、、、
コロナウィルス蔓延よるステイホームの影響で、生活習慣が変わり体重増や内科疾患や運動器疾患でお悩みなる方が多くなった気がします。
とにかく痛むので、歩いたり座ってられない。
しかし、この方は病院での診断は受けておりませんでしたけども、症状及び検査からみて坐骨神経痛のようでした。
坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」が障害を受けることで現れる痛みやしびれの総称のことをいいます。
坐骨神経の圧迫によって起こる症状なので、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、変形性腰椎症などの疾患が原因となって起こるといわれていますが、実は原因が特定出来ないものが多いです。
症状
主な症状は、お尻から足にかけて後ろ側が痛む、太ももからふくらはぎにかけてしびれるなどです。左右いずれか片側だけに起こることが多いですが、左右両方に痛みを感じる場合もあります。
痛みは「びりびり」「ぴりぴり」「じんじん」などの感覚が多いようです。筋肉の張りや、冷感、灼熱感、締め付けられる感じなどを伴う場合もあります。
長時間立っているのがつらい、座り続けるのがつらい、15分以上続けて歩けない、お尻や脚が痛くて眠れない、靴下を履くときなどに体をかがめると痛むなどの特徴があります。足の痛みは、腰を曲げると強くなる傾向があります。
問診・検査
検査では、坐骨神経痛の原因となっている疾患を特定することが重要です。
腰椎が原因であることが多いですが、帯状疱疹や子宮筋腫、変形性股関節症といった腰椎以外の病気や糖尿病、高血圧や血管疾患の有無が痛みの原因となっていることもあるため、問診では、痛みの他に病気の既往歴や現在の体調を伺っていきます。
検査では、下肢伸展挙上テスト(SLR)をしていきます。このテストの方法は、痛みのある方に上向きに寝てもらい、ヒザを伸ばして脚を少しずつ挙げていきます。この下肢伸展挙上テスト(SLR)が陽性であれば坐骨神経痛で、陰性であれば股関節痛と判断されています。
治療法
西洋医学的治療
西洋医学では、薬物療法や理学療法(リハビリテーション)などの保存療法が行われます。
用いられる薬剤には、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、神経障害性疼痛治療薬、筋緊張弛緩薬、血管拡張薬などが必要に応じて処方されます。
また、重症度が高まった際には、局所麻酔薬やステロイドを神経の根元に注射する神経ブロック療法も視野に入ります。
理学療法では、赤外線などで腰部を温める温熱療法、マッサージ、低周波電気療法、骨盤牽引などがあります。
薬物療法や理学療法で改善が見られない場合は、手術も最終的な手段として行われています。
東洋医学的治療
東洋医学的に痛みやしびれの根本原因は、気・血・水など人体の構成成分の「流れ」や「量」と深い関係にあると考えられています。「気」は生命エネルギーのような概念、「血」は全身を滋養する血液や栄養、「水」は体内の水液を指します。これらの流れや量がおかしくなると、神経圧迫や血流障害が生じ、神経障害が起こりやすくなります。
また、筋や骨や関節に痛み、腫れ、しびれなどの症状があることを“痺症(ひしょう)”と呼んでおり、坐骨神経痛もこれに属します。体力の低下や内臓の弱りがあると、外界からの邪気が体内に入り込みやすくなり気血の巡りを障害し、痺症を引き起こします。
因みに、邪気とは人体に悪影響を与える環境の因子のことを指します(湿気・寒熱、風)。
坐骨神経痛という症状名は1つでも、どの邪気に侵されて症状を発症しているかは人それぞれ違いますので、邪気の鑑別とともにその人の体調・体質を診ながら鍼をしていきます。
経穴(つぼ)は曲池・陰陵泉・三陰交・太谿などを症状に合わせて使い分けていきます。
下肢に痛みとしびれがあり、じっと座ってられないくらいの状態でしたが、今では不快な症状もなく歩けるようになりました。
今回ご紹介した例では、ステイホームによる運動不足が痛みの起因でした。
運動不足→筋力の低下→下肢のバランスが悪くなる→さらに動かなくなるという負のスパイラルに陥ると、生活の自立度が低下していき、介護が必要になる可能性も高まります。
運動などで日ごろから筋肉を落とさないように気を付けましょう。
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