ブロック注射が効かなかった痛みに鍼灸はなぜ効くのか?

肩や腰、背中のコリや痛みが酷く、整形外科や麻酔科でブロック注射を受けても痛みがなかなか改善されず、長引く痛みに悩んで鍼を受けにお越しになられる方がいます。

ブロック注射は、文字通り神経を麻痺させて痛みをブロックさせるので鎮痛作用が強く、シップやお薬で痛みが引かない場合の「最後の砦」みたいに思われている方が少なくありません。

しかし、体に痛みを伝える神経を麻痺させても痛みが引かない場合があります。

それはどのような痛みなのでしょうか?

痛みには大きく分けて3つに分類される

痛みの種類は3つに分けられることができます。
①外傷や打撲など外からの刺激によって引き起こされる侵害受容性疼痛
②神経自体が損傷や圧迫を受けて生じる神経障害性疼痛
③身体に異常が見つからないけど痛みを脳で感じてしまう痛覚変調制疼痛


(ひどいイラストでスミマセン)

痛みの発生と抑制の仕組み

痛みは末梢(侵害受容器)で電気信号に変換され、感覚神経線維を伝わり脊髄に入り、その後、脳へ投射されることで脳で痛みが認識されます。
対して、体は痛みをできるだけ弱めるための抑制機構も持っています。この抑制機構は、脳から脊髄に向けて働くシステムで「下行性疼痛抑制系」と呼ばれます。
下行性疼痛抑制系は、痛みの信号が伝わると中脳腹側被蓋野を起点としてドパミンニューロンからドパミンが放出されることで活性化します。ドパミンの刺激を受けて内因性オピオイド(体内で生成される鎮痛物質)が放出されると、オピオイドを介した神経の伝達により、セロトニンノルアドレナリンが放出され脊髄に抑制の信号が送られます。
つまり、脊髄では、脳へ投射される痛み信号に対して、脳から送られた下行性の鎮痛信号が作用して、脳へ伝達される痛みが抑制されていることになります。

前述したとおり、ブロック注射は「神経をブロック」し、除痛を図ります。
ブロック注射の目的は、①侵害受容性疼痛や②神経障害性疼痛を脳に伝わらないようにブロックすることです。
注射が効いてると痛みは全く感じなくなることが多いです。
一定期間痛みを感じない時期が続けば、神経の興奮は解かれ、筋肉の緊張も緩み、浮腫や炎症も引きやすい環境になります。
うまくいけば、その後も痛みを感じなくなることはよくあります。

しかし、神経ブロックでも効果がなかなか得られない痛みがあります。

それは、「③痛覚変調性疼痛」の場合です(心因性疼痛と呼ぶこともあります)。
痛覚変調性疼痛とは、脳で痛みを感じやすくなっている状態のことを指します。
脳で痛みを感じやすくなっていますので、普通は痛みとして感じることのない刺激で痛みを感じたり、もう治った傷や病気の場所が痛む(痛みの記憶)ような状況が生じたり、うつ病や孤独感などの心理的要素や、社会的な環境や生活状況等のストレスが痛みとして現れることもあり、慢性的なストレスが原因とされる肩こりや背中の痛みなどの慢性痛がこれにあたると言われています。
また、検査をしても原因が見つからない場合ケースが多いです。

このため、外傷や神経の圧迫などがない痛覚変調性疼痛に対して、主に末梢性の痛みに有効なブロック注射はあまり効果を期待できません。

ブロック注射の効きにくい痛覚変調性疼痛は、脳で痛みを感じやすくなった状態といわれていますが、脳の鎮痛システムの下行性疼痛抑制系が働きにくい状態になっているとも言えます。これは、下行性疼痛抑制系の働きに欠かせないドパミン・内因性オピオイド(体内で生成される鎮痛物質)・セロトニン・ノルアドレナリンのいずれかの不足、あるいは、感受性が下がっている状態と想像できます。

鍼灸と栄養素の補給で回復を早める

脳で痛みを感じやすくなった状態の痛覚変調性疼痛は、症状が慢性化することも多く、その原因としてネガティブな心理状態があげられます。そのため、抗うつ剤や認知療法や運動療法を勧められるのが一般的です。

鍼灸治療は、末梢、脊髄、脳、それぞれに鎮痛の作用機序があって効果を発揮しますが、その一つに下行性疼痛抑制系の起点となっている中脳の神経活動の活性化を助け、内因性オピオイド(体内で生成される鎮痛物質)・セロトニン・ノルアドレナリンの分泌を促す効果があると考えられています。
また、鉄・ビタミンD、ビタミンB・ビタミンCは、下行性疼痛抑制系の発現に重要なセロトニンやノルアドレナリンという神経伝達物質の材料や体内の炎症を抑える作用が分かっています。

鍼灸治療は体を整え、治ろうとする力(自然治癒力)を引き出すことを得意としています。
脳も神経も血流も滞りができると症状が現れやすくなることは一緒でも、痛みの状態や生活背景はお一人お一人違います。改善されていく過程も人それぞれです。
鍼灸治療もお一人おひとりに合わせたやり方でアプローチしてゆきます。
長引く痛みに鍼灸という選択を加えることをぜひご検討ください。
あなたの体が「治ろうとする力」を取り戻すためのお手伝いをいたします。

 

 




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