かねてより鍼灸治療は、認知症の周辺症状(抑うつ状態、依存、不安、攻撃的行動、幻覚、妄想、睡眠障害、徘徊)の緩和や認知症の予防に利用されてきましたが、近年、韓国科学技術院などによるグループが、頭蓋底から頸部リンパ節へと至るリンパ管ネットワークが脳脊髄液(CSF)の排出経路の一つとして機能していることを発見したとの論文をNature誌に発表したのを受けて、顔に鍼をする美容鍼灸も認知症の症状改善や予防に役立つ可能性が出てきました。
脳脊髄液(CSF)とは、脳で産生されて脳内と脊髄の中を循環して、脳内の老廃物や異常タンパク質を除去し、中枢神経系の働きを正常に保つ上で重要な役割を果たしている液体です。
脳と脊髄を循環した後の脳脊髄液(CSF)の排出経路は、静脈や深頸リンパ管(deep cervical lymphatics:dcLVs)に流入することが知られていましたが、皮膚表層に近い場所のリンパ管には排出経路を持たないと考えられてきました。

しかし、このグループの発表で、眼窩周囲・鼻腔・硬口蓋のリンパ管を通り、頸部浅層リンパ管(superficial cervical lymphatics:scLVs)を経て、顎下リンパ節(submandibular lymph node:smLN)へ排出されることが明らかになりました。
簡単に言うと、脳と脊柱の中を循環する液体(CSF)の排泄のルートが顔の比較的浅い部分のリンパ管にまであったよ、ということです。
さらにこの研究グループは、力を精密に制御できる機械刺激装置を開発し,皮膚越しに頸部浅層リンパ管(scLVs)を低強度刺激で5分間刺激する方法で脳脊髄液(CSF)排出の変化を観察したところ、頸部浅層リンパ管(scLVs)内および顎下リンパ節への脳脊髄液(CSF)排出が2〜3倍に増加しました。
さらに、20分間の皮膚刺激では、頸部浅層リンパ管(scLVs)とリンパ節への脳脊髄液(CSF)排出量がそれぞれ4.7倍、2.8倍にまで増加することが確認されました。(ここまでの研究は、マウスを使っての研究です)
以上の結果は、脳と脊髄との間を循環し老廃物など不要なものを回収する役割をもつ脳脊髄液(CSF)の排出を簡便な方法で促進し、加齢や神経変性疾患による脳機能障害の予防・治療につながる可能性を示唆します。特に睡眠やリンパ排出の障害が関与するとされるアルツハイマー病に対する応用が期待されるとのことです。
鍼灸にできること
認知症は代表的なもので、「アルツハイマー型」「脳血管性」「レビー小体型」などに分けられます。
原因として主に、異常なたんぱく質(アミロイド・ベータ)が脳に蓄積したり、脳の神経細胞が死んで脳が委縮することで発症すると考えられています。
臨床の現場では、鍼灸の施術によって認知症の周辺症状(抑うつ状態、依存、不安、攻撃的行動、幻覚、妄想、睡眠障害、徘徊)が緩和するケースが報告されており、認知症の予防や症状緩和の期待がされています。
また、パーキンソン病認知症の方の筋肉のこわばりからくる表情筋の硬さ(無表情)が美容鍼灸によって改善されるケースがあり、全身症状はもとより、表情が明るく豊かになることで生活の質も上がると喜ばれています。
さらに、今回明らかになった頸部浅層リンパ管(scLVs)から脳脊髄液(CSF)が排出されるという発表は、表情筋や顔面の表皮に働きかけている美容鍼灸が、お顔の症状だけでなく認知症の予防と症状緩和に役立つ可能性が出てきました。
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今回の論文で明らかになった実際のリンパの流れは、眼窩周囲・鼻腔・硬口蓋のリンパ管を通り、頸部浅層リンパ管(superficial cervical lymphatics:scLVs)を経て、顎下リンパ節(submandibular lymph node:smLN)へ排出されるというものです。
これは、リンパの流れる方向と圧のかけ方が分かれば、セルフマッサージで流すこともできます。
しかし、美容鍼の方がより強く体に働きかけ、持続した効果が見込まれます。(強い刺激という意味ではありません)

鍼治療は長く続けた方がメリットは大きい
別の研究では、長期間にわたり鍼灸治療を受けていた方は、受けていなかった方に比べて認知症の進行が顕著に遅かったという結果もあります。認知症は、発症から20年程度経つと投薬治療のみだと、ほとんどの方が寝たきりや車椅子生活になると言われています。
しかし、鍼灸治療を週に一度、あるいは二週間に一度の頻度で受け続けていた方には、自力で基本的な日常生活を送れる方が多くなる傾向にあります。
認知症に対する鍼灸治療は、残念ながら病気を完治させるということを目的とするのでなく、予防や症状の緩和、悪化するスピードを緩めて少しでも長く自立した生活を送れるようにすることを目指しています。

よなねが治療院
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